カード現金化 トラブル急増 実態は「高金利の融資」(毎日新聞)
クレジットカードで買わせた商品を安く買って現金を渡す「クレジットカード現金化」のトラブルが増えている。貸し付けを年収の3分の1に制限する貸金業法の改正で、新規融資を受けられなくなった多重債務者の利用が目立つが、受け取る以上の借金が残ることは同じ。宇都宮健児日本弁護士連合会会長は「規制する法律はないが、明らかに犯罪。取り締まりが必要になるのではないか」と語る。【遠藤和行】
国民生活センターによるとカードの現金化に関する相談は貸金業法が改正された06年度は86件だったが、09年度は228件に急増。相談者の4人に1人が多重債務者で、貸金業者から融資を受けられず、切羽詰まって利用するケースも目立った。
現金化の仕組みは単純だ。例えば、カード所有者が50万円のパソコンを購入し、そのパソコンを買い取り業者に35万円で買ってもらう。利用者はいったんは35万円を手にするが後日、カード会社から50万円を請求される。当座の35万円を得るために50万円の債務を負うことになり「高金利の融資と変わらない」(業界関係者)。
換金目的のクレジットカード使用は、カード会社が規約で禁じており、詐欺罪に問われる可能性もある。ただ「業者と利用者を詐欺罪で告発する必要があるが、カード会社は顧客を告発しにくい」(同)という。利用後に「違反行為をしているので、警察やクレジットカード会社には言わないように」などと口止めするケースもあり、利用した側も後ろめたさがあるため、被害は潜在化もしているようだ。
また最近は、換金目的とみられないよう、商品購入に伴う「キャッシュバック」という手法も増えている。例えば、自社製CD−ROMなど価値がはっきりしない商品を買わせ、おまけに現金を渡す。建前は商品の売買でも、実際は換金目的で、利用者に債務が残ることに変わりはない。国民生活センターは「絶対に利用しないで」と呼び掛けている。
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